鏡で自分の顔を見て肌に年齢を感じたとき、頭に浮かんだ疑問がありました。この変化は、年を取ったせいなのか。そもそも男性の肌は、年齢とともに何が変わるのか。これまで化粧品を使ったことがない50代の私は、その基本さえ知りませんでした。
そこで、医学書の解説(MSDマニュアル家庭版)と、メーカーや公開されている肌の調査を読んでみました。この記事では、そこから分かったことを、調査の条件も添えて書きます。
製薬会社のMSDが発行している医学書で、専門家向けと一般向けがあります。一般向けの「家庭版」は、病気や体のしくみを一般の人にも分かる言葉で説明していて、インターネットで読めます。
なお、このブログを書き始めたきっかけは、最初の記事に書いています。

男性の肌悩みは「皮脂」と「乾燥」
マンダムが25〜44歳の男性800名にとったアンケート(2006年発表)では、男性の約半数が顔の肌に悩みを持っていて、年代を問わず最も多いのは皮脂(テカリ・ベタつき)、次いで乾燥でした。洗顔後やひげ剃り後の乾燥を気にする人が多い、ともあります。
気になったのは、40歳を超えると多くの肌悩みを「年齢のせい」と考えるようになる、という点です。私にも思い当たります。では、本当に年齢のせいなのか。順に見ていきます。
男性の肌には、どんな特徴があるのか
資生堂が2020年12月に発表した調査では、20〜30代の男女の肌を比べています。男性は女性に比べて、毛穴が多く皮脂量も多い、バリア機能が弱い、紫外線のダメージを受けやすい、という傾向が示されていました。水分量には、男女で大きな差は見られなかったそうです。また、男性はスキンケアや日焼け対策への意識が女性より低い傾向があり、それも老化や肌トラブルの起きやすさにつながると考えられている、とのことです。
肌が持っている、外からの刺激を防ぎ、中の水分が逃げるのを抑える働きのことです。弱くなると、乾燥しやすく、刺激も受けやすくなると説明されています。
ただし、この資料には調査の人数や実施時期が書かれておらず、対象も20〜30代だけです。メーカーの資料でもあるので、「そういう傾向が報告されている」くらいに受け止めていいでしょう。
年齢とともに、肌で起きること
MSDマニュアル(家庭版)の「皮膚への加齢の影響」には、年齢とともに起きる変化が次のように書かれています。
- 表皮と真皮が薄くなり、その下の皮下脂肪の層も失われることがある。3つの層すべての体積が減り、皮膚の機能が低下する
- 層が減ることで、弾力性が下がる
- 皮脂などの脂分の分泌が減り、バリア機能が損なわれて、乾燥しやすくなる
- 神経の終わりの数が減り、肌の感覚が鈍くなる
- 汗腺と血管の数が減り、暑さに対する皮膚の反応力が落ちる
- 皮膚が傷つきやすくなり、傷から回復しにくくなる
肌は、外側から「表皮」「真皮」「皮下脂肪」の3つの層に分けて説明されます。表皮が一番外側で、その下に真皮、さらにその下に皮下脂肪があります。

皮脂は減るのか、減らないのか
MSDマニュアルでは、年齢とともに脂分の分泌が減る、とされています。一方、先ほどのマンダムの調査(2004〜2005年に行われた皮膚測定、男性49名・19〜62歳)では、皮脂量は年齢による減少が小さく、60歳を過ぎても額や鼻では多い状態が続いていたそうです。加齢とともに、肌は硬くなって伸びにくく、弾力が低下する傾向も見られました。
資料によって書き方が違うので、私にはどちらが正しいとは言えません。測った部位や条件による違いかもしれません。ただ、「年を取ると肌は全体が乾く」と決めつけず、脂っぽい場所と乾く場所が混ざっているかもしれない、と考えておくのがよさそうです。
「年齢のせい」だけではないかもしれない
意外だったのは、日光(紫外線)の話です。MSDマニュアルには、一般に加齢が原因と考えられている皮膚の変化の大半は、日光による損傷が原因だ、とあります。細かいしわや深いしわ、しみ、肌のざらつきは、長い年月の紫外線の影響と結びつけて説明されていました。長期の日光曝露による皮膚の老化は「光老化」と呼ばれます。
長い年月に浴びた日光(紫外線)が原因で進む、皮膚の老化のことです。年齢による自然な変化とは区別して説明されます。
同じ資料には、日焼け止めを日常的に使うことが、光老化の予防に役立つ可能性がある、とも書かれていました。また、一度できた皮膚の損傷は、元に戻すのが難しいそうです。
マンダムの調査でも、肌の加齢傾向が見られた人は、日焼け対策の習慣が少ない傾向があり、T字カミソリを使う割合が高かった、という報告があります。ただし、これは「そういう傾向があった」という関係で、日焼け止めやカミソリが原因だと言い切れるものではありません。人数も少なく、調査も約20年前です。
それでも、毎日続けること(ひげ剃り、外に出ること)が肌に影響しているかもしれない、と知っておくのは悪くないと思いました。
40代・50代から始めるなら
調べた範囲で、現実的だと感じたのは次の3つです。
- 洗顔のあとに保湿を一つ足す:洗顔後はなるべく5分以内に保湿、というのが皮膚の乾燥についての解説にありました。
- ひげ剃りの前後を丁寧に:ぬるま湯で洗う、シェービング剤を使う、剃ったあとに保湿する。
- 外に出るときは日焼け止め:使い方は商品の表示に従う。
どれも特別な道具がなくても始められます。それぞれの具体的なやり方は、別の記事で調べていきます。
期待しすぎないほうがいいこと
「50代からでは遅い」と思う必要はなさそうです。ただ、MSDマニュアルには、保湿剤や化粧で、しわや色ムラを一時的に目立たなくすることはできても、深い損傷は元に戻りにくい、とあります。シワやたるみが、化粧品だけで元に戻ると期待しすぎるのは違うようです。気になる症状があるときは、皮膚科に相談するのが確実だと思います。
まとめ
- 男性の肌悩みは年代を問わず、皮脂と乾燥が中心。
- 年齢とともに、表皮・真皮・皮下脂肪が薄くなり、弾力が下がり、乾燥しやすくなる傾向がある。
- 皮脂については、資料によって「減る」「減りにくい」と書き方が違う。部位による差もありそう。
- 加齢の変化と思われているものの大半は、日光による損傷が原因とされている。
- 調査は古かったり人数が少なかったりするので、「傾向」として受け止める。
- まずは、洗顔後の保湿・ひげ剃りの前後・日焼け止めの3つから。
参考にした資料
- MSDマニュアル 家庭版「皮膚への加齢の影響」
- MSDマニュアル 家庭版「日光と皮膚障害の概要」
- マンダム「男性の肌調査」(2006年発表・PDF)
- 資生堂ニュースリリース(2020年12月・20〜30代の男女の肌の比較/メーカー資料のため参考程度)
- Medical Note「皮膚の乾燥」
- パナソニック「ひげ剃り負けの原因と予防」(販売会社のコラムのため参考程度)
※この記事は個人が調べた内容をまとめたもので、医療上の助言ではありません。効果の感じ方には個人差があります。気になる症状が続くときは皮膚科にご相談ください。調査の対象や時期が異なるため、数値の直接比較はできません。

