化粧品の箱や容器の裏には、小さな文字で成分がずらりと並んでいます。「医薬部外品」と書かれたものもあれば、書かれていないものもあります。化粧品を使ったことがなかった私には、この文字が何を意味するのか、全く分かりませんでした。
そこで、日本化粧品工業会の解説や、厚生労働省の通知などを読んで、分かったことをまとめました。
化粧品をつくる会社の業界団体です。化粧品に関する基礎知識の解説も公開しています。

スキンケア用品は、法律で3つに分けられている
複数の資料に共通していたのは、スキンケア用品は、薬機法という法律で、医薬品・医薬部外品・化粧品のどれかに分けられている、という説明でした。
化粧品や薬などの品質と安全を守るためのルールを定めた法律です。正式な名前は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で、以前は「薬事法」と呼ばれていました。
医薬品は、病気の診断・予防・治療に使うものです。化粧品は、身体を清潔にし、美しく見せ、皮膚や髪を健やかに保つためのもので、人体への作用がおだやかなものとされています。その間にあるのが医薬部外品で、不快感やあせも、脱毛などの「防止」や、育毛・除毛、害虫の防除などを目的とする、作用が緩和なものです。治療のための薬ではありません。
薬機法で定められた分類の一つです。作用がおだやかで、治療ではなく「防止」などを目的とするものとされています。厚生労働大臣が指定したものも含まれます。
| 医薬品 | 医薬部外品 | 化粧品 | |
|---|---|---|---|
| 目的 | 病気の診断・予防・治療 | 不快感・あせも・脱毛などの防止、育毛・除毛、害虫の防除など | 清潔にする、美しく見せる、肌や髪を健やかに保つ |
| ラベルで見る点 | 「医薬品」であることの表示 | 「医薬部外品」または「薬用」の表示 | 全成分表示 |
| 表示できる効能の範囲(花王の整理) | いちばん広い | 化粧品より広い | 決められた範囲の中 |
花王の解説(メーカーの資料のため参考程度)では、表示できる効能・効果の範囲は、化粧品、医薬部外品、医薬品の順に広くなる、と整理されていました。ただし、これは「書いてよいこと」の範囲の話です。自分の肌に合うかどうかとは、別の問題だと思います。
「薬用」と書いてあるものは何か
箱に「薬用」と書かれているものは、薬用化粧品と呼ばれ、法律上は医薬部外品にあたります。日本化粧品工業会の解説では、化粧品としての効果に加えて、肌荒れ・ニキビの予防、美白(メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐこと)などをねらった「有効成分」が入っている点が、化粧品との大きな違いだとされていました。
医薬部外品のうち、化粧品のように肌や髪の手入れに使うものの呼び名です。箱や容器には「薬用」「医薬部外品」と表示されます。
肌荒れやニキビの予防、美白(メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐこと)など、特定の目的のために配合される成分です。医薬部外品では、その成分によって表示できる効能・効果が決められています。
また、医薬部外品は、承認を受けた効能効果を、承認された言い回しのまま表示するものです。日本化粧品工業会の広告表現のガイドライン(2020年版)には、「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」の「メラニンの生成を抑え」の部分だけを省いてはいけない、という例が載っていました。
化粧品で書いてよい効能は、56項目
では、化粧品は何でも書いてよいのかというと、そうではありません。厚生労働省の通知で、化粧品の効能として表示できる範囲は、56項目と決められています。昭和36年の通知で範囲が定められ、2011年に「乾燥による小ジワを目立たなくする」が1項目加わって、56項目になりました。
肌に関する項目には、「肌を整える」「肌荒れを防ぐ」「肌にうるおいを与える」「乾燥を防ぐ」「ひげ剃り後の肌を整える」などがあります(福岡県の資料)。ひげ剃り後の項目があるのは、男性の私には少し意外でした。
逆に、範囲の外の例として、日本化粧品工業会のガイドラインには、「肌の新陳代謝、血行を促進」「真皮の〇〇を再生します」といった表現が挙げられていました。化粧品の広告では、使えない表現とされています。
成分表示は、どう読むのか
日本化粧品工業会の解説によると、化粧品は、法律に基づいて、入っている成分をすべて書く「全成分表示」が義務になっています。書き方のルールは、厚生労働省の通知(2001年)に、次のように書かれていました。
製品に配合している成分を、すべて容器や箱に書いて示すことです。
- 成分の名前は、日本語で書く。
- 配合量の多い順に書く。ただし、1%以下の成分と着色剤は、順不同でよい。
- 香料は、個々の成分名ではなく、「香料」とまとめて書いてよい。
- 製品の中で効果を発揮しない程度にしか入っていない成分は、書かなくてよい。

つまり、前のほうに書かれた成分は、たくさん入っているということです。いっぽう、後ろのほうは、1%以下の成分や着色剤の順番が決まっていないので、並び順に意味があるとは限りません。また、成分表示から分かるのは「何が入っているか」までで、「どのくらい入っているか」や「自分の肌に合うか」は、表示だけでは分からないと思います。
過去に肌に合わなかった製品があれば、その成分表示を控えておくと、次に選ぶときの手がかりになりそうです。
いっぽう、医薬部外品は、法律による全成分表示ではなく、業界団体の自主基準に従って成分を表示する、と日本化粧品工業会の解説にありました。表示のしかたは商品ごとに違うかもしれないので、箱で確認するのがよさそうです。
業界団体が、法律とは別に、自分たちで決めて守るルールのことです。
商品を見るときのポイント
- 箱や容器に、「医薬部外品」「薬用」と書かれているかを見る。
- 書かれている効能効果が、自分の気になっていることと合っているかを見る。
- 化粧品なら、全成分表示を見る。前のほうに書かれた成分が、たくさん入っている成分だと考えておく。
- 「医薬部外品だから安心」「よく効くはず」と、考えすぎない。
注意しておきたいこと
医薬部外品は、治療のための薬ではありません。目的は「防止」ですから、すでに出ている肌のトラブルが強いときは、皮膚科に相談するのが先だと思います。
また、医薬部外品にも化粧品にも、合わない人はいます。腕の内側などで少量を試して(パッチテスト)、赤み・かゆみ・ヒリつきが出たら、使うのをやめてください。
まとめ
- スキンケア用品は、薬機法で、医薬品・医薬部外品・化粧品に分けられている。
- 「薬用」と書かれたものは医薬部外品で、肌荒れ・ニキビの予防などをねらった有効成分が入っている。
- 化粧品の効能として書ける範囲は、56項目と決められている。
- 化粧品の全成分表示は、配合量の多い順。ただし1%以下の成分と着色剤は順不同。
- 成分表示から分かるのは、何が入っているかまで。肌に合うかは、試してみないと分からない。
参考にした資料
- 日本化粧品工業会「化粧品と薬用化粧品」
- 日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン 2020年版」(京都府サイト掲載・PDF)
- 厚生労働省通知「化粧品の全成分表示の表示方法等について」(2001年・岡山県サイト掲載・PDF)
- 厚生労働省通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(2011年7月21日・PDF)
- 福岡県「化粧品の効能の範囲(56項目)」(2016年更新)
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」第2条(2026年5月21日施行分)
- 花王「お肌ナビ」医薬品・医薬部外品・化粧品の違い(メーカーの資料のため参考程度)
※この記事は個人が調べた内容をまとめたもので、医療上の助言ではありません。効果の感じ方には個人差があります。気になる症状が続くときは皮膚科にご相談ください。制度の説明は一般的な内容で、個別の商品の効能を保証するものではありません。表示のルールは改正されることがあります。

